愛しかないとかなんとかかんとか Category:murmur Date:2014年10月11日 この夏は、何だか失ってばかりの夏だった。……そうだ、始まりが、そもそもにしてそうだった。夏はなにかを失う季節なのかもしれない。そしてぽかっとした空白をそのまま、時間が別のなにかを運んでくる。頼んでもいないのに、連れてくる。 夏が終わると同時に慌しく衣をかえていった風は、もうすっかり秋のそれで、辻本は襟足を撫ぜていく湿った風に鼻を鳴らした。 学ラン姿のままバイト先までの路を歩くのにもすっかりからだが馴染んでしまい、薄っすらとした淋しさが絶えず纏いつく。もの心のつく頃から自覚のあった、感情のアンテナといったものが辻本の内側に潜んでいて、季節の変わりめといった刹那的な感傷にたやすく心が揺れるのだった。元来、穏やかで思慮深い性格であるから、その咎が外れる時はあまりにも呆気ない。 淋しさの出処など十七歳の少年には判断できなかったものの、感情のアンテナがあちこちに向けられているのを感じることはできた。不規則で微弱な、季節を告げる風の気配。 ヴー、と、鞄の中に仕舞っていた携帯が震え、歩きながらフリップを開けた。上妻からのメールだった。互いの連絡先は、コンビを組むことを決めた時に交換したばかりだった。女子のように頻繁にメールをし合うタイプではないし、学校でいつでも逢える安心が連絡先の交換をすることに無意味さを与えていた。しかしいざこうしてメールをもらえば、今まで連絡先を知らなかったことが不思議に思えてくる。手のひらの中の、拳で包まれてしまう程度の大きさの携帯一つにあいつのなにかしらが含まれている不思議を想った。なんて頼りないんだろう、こんなものすぐに壊れてしまうのに。 アンテナが傍受した感傷を心中で嘲って、速度を落としながらメールを読む。 ――これ全部覚えなきゃダメか? 上妻のいう、“これ”が、辻本の渡したネタであることはすぐにわかった。一度目をまるくし、辻本はため息に似た笑いを吐いた。それから、電信柱のほうに寄って返信を打った。 ――当たり前やろ。 フリップを閉じて携帯を鞄に仕舞い、歩を再開させると知らず速足になった。何もかも失った先に光が見えた、新しい相方の存在はまさに光そのものだった。風が頬を打つ、耳の輪郭をなぞっていく、走る辻本の鞄の中で、携帯がまたメールを受信した。・・・と、ここまで書いて放っぽられてたべしゃり辻本くんと上妻くんの(なぞの)お話が残っていたので、誰か続き書いてください。何を思っての辻本上妻なのか、まったくもってなぞなんだけど、言いたいことはだいたいわかる、おなじよなのがいっこ、辻本くんとかねもっさんのお話がいっこ、まだファイルに残ってて、書き途中で、長いこと雨ざらしだった。べしゃりとか、ろくぶるとか、rksとか、二次創作したところで今もういったい誰が望むんだろうって思うんだけど、辻本くんも海老原くんも岡田さんもやっぱりかわいいし優しいしすきです。森田せんせいのえがく作品はストイックに研ぎ澄まされてて愛情たっぷりで人は人間らしくてもれなくみんな愛しいです。すきなのです。何かの二次創作をする時は私は、私が書きたいと思って、書くために書くので需要とかあんま考えないんですけど、いくつかの書いたものをどっかの誰かが見っけてくれて、好いてくれて、読んだよってレスポンスをくれて、そういうことがこんな、もはや誰にも望まれてないだろうジャンルにもちゃんとあったこと、ネットってすごい。電波のちからってすごい。すごくありがたかったし友達になってよ。私はきみと話がしたいだけなのだけれど。べしゃり、ずっと続きまってて、辻本くんのゆくすえが気になるし何より森田せんせの情況が気になるし。カプにしちゃうのなら辻本くんとかねもっさんがすごくすきです。私の思い描く、「それは宗教やで」をあのふたり、体現してくれちゃってんです。最高です。藤川がいなくなってしまって、かねもっさんの孤独は一生癒やされやしないのだろうけれど、あの人は大人だしそういう孤独を一生かかえて生きてくんだろうなあと思う。たとえ誰かに心から愛されたとしても、きっともうだめなんだろう。しのぶさんは幸せなんだろか。 PR