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- Date:2025年04月23日
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いいねの数だけ影菅に パンを焼いてもらう(https://shindanmaker.com/612963)
というお題を頂いて、ツイッターで散々からすのパン屋さん(そういう絵本がありましたね)について垂れ流して恥ずかしい思いをしたのですが、
懲りずにまだ考えてる。
パン屋さんじゃないからパン屋さんの事情はよくわからぬのですが、パンも奥が深いな~とその手のサイトを眺めてて思いました。
hqでたべもの屋さんパロはしたいとずっと思ってて、でもパン屋さんとはぜんぜん考えたことなかったな。いいね、パン屋さんも。
派生で影菅。だけど影山パン焼いてない。
「かーげやまっ」
「わっ!」
昼休憩に入らんとエプロンを外しかけた影山の背中に、唐突に声と体重が襲った。ふわっと香るこうばしい匂いに、それが菅原だとすぐにわかった。菅原さん、と、首だけ振り返れば、彼はいつもと変わらぬほほ笑みを浮べ、
「馴れない接客お疲れさん」
「……もう、だいじょうぶですよ」
「ホントかー? ならホールおまえ一人に任せんぞー?」
悪戯っこのような調子で言われ、影山は慌てて「それはまだ無理っす!」と両手を激しく左右に振った。
菅原は影山の背中に抱きついていた体を離し、エプロンを外す。首と肩をおおきく廻して、深く息を吐いた。
「菅原さんもお疲れさまです。休憩……入れそうっすか」
「うん。お客さんだいぶはけたし、今のうちに」
時計は十三時を過ぎていて、菅原が店に入ってから半日以上が経っていた。熱心に生地を捏ね、成形し、焼く。その作業をいくら繰り返したのか。それを思うと、影山のこころには労わりの気持ちしか生まれない。お疲れさまっす。改めてそう言えば、
「いやー、じっさいあんま疲れてない」
などと、相貌を崩す。そして、
「影山と俺のお昼ごはん」
そう言って、ぶら提げていたビニルの袋を影山の目の前に掲げてみせた。
「何ですか」
「開けてみ?」
袋を手にとり、ひらいてみれば、まだ微かにあたたかいシナモンロールが二つ、入っている。シナモンの良い香りがたちまち影山の鼻をくすぐり、思わず菅原と、袋の中とを交互に見やった。
「何?」
にやにやと笑みを浮べながら、菅原は言う。
「いえ、……美味そうだな、って」
「俺が作ったんだから、そりゃ美味いさ」
それもおまえのために。わざわざ。
後半はすこしヴォリウムを落として、けれど影山の耳にはあまったるく響く声音で、菅原は言った。
「……ありがとう、ございます」
「珈琲も淹れたから、一緒に食おう」
「はい」
シナモンとカルダモンの香りと、菅原から漂うこうばしい匂いが影山を満たす。もう胸やけしそうだ、と思いながら、シナモンロールの入った袋を、影山はだいじそうに胸に抱えた。